さて、新年度開始。
フランスの義務教育の教科書は、基本的には、公的に貸与される。
私立の場合は、小学校は全部教科書購入、またはプリント配布だったり、中学・高校でも数冊は買わなければいけない場合もあって、それは、自分のものだから自由に書き込みをしても構わないけれど、少しずつ習慣のある子は、まず、見かけない。
学校から借りた教科書を破損してしまうと、弁償金を払わないといけなくなるから。もしくは、購入した場合でも、きれいに使っておけば、年度末に、次の学年の子に安価で譲ることができるから。
息子が通う学校では、年度の初めに、ディポジットとしてちょっとした金額の小切手を学校に預け(フランスは個人小切手での支払いがポピュラーなので)、教科書を受け取り、年度末に返納する際に、破損したりなくしていたら弁償精算する仕組み。
その他に、使用済みの(購入した)教科書を、次の学年にと一斉に売買できる日が設けられている。
教科書はとても分厚くて重いので、貸与されている教科書は学校に置いておいて、自宅にもう1セット購入したものを持つようにしている家庭もある。
いずれにしても、フランス独特の習慣として、教科書には透明のビニールカバーをつけなければいけない…これが、とても、手間がかかる。
サイズも厚みもまちまちなので、市販の定型サイズビニールカバーのようなものが、ない。
要は、透明の大きなビニールペーパーを買ってきて、それぞれの大きさに合わせて切って、四角を内側に折り込んで、セロテープで留めて、、、何でもないことのようだけれど、案外、手間で時間がかかるので、とてつもない作業に感じられる(のは、私だけではない様子)。
中学に入ったときには、もう自分でやるからいいよと、息子の方から言ってきてくれたものの、やっぱり手伝わないと、翌日から何冊も使い出すには間に合わない。
今年は、10冊。
「自分で追々やるからいいよ」と高校生になった彼は言ったけれど、背丈もとうに追い越されて、すっかりしっかり頼もしいティーンエイジャーになったからこそ、放っておいたら、いつになるかわからない。
と、昨日立ち寄った行きつけの本屋さんで、ビニールカバーペーパーの陳列棚の前に、「1冊1ユーロで教科書カバーお任せください」の貼り紙！
なんと！“自動ビニールカバーかけ機”が導入されていた。混んでいなければ、すぐ出来上がるというので、即座に、息子の携帯にSMS「学校出たら、すぐ電話してね」
携帯電話を(文字通り)携帯するのは、(私の周りでは)中学生以降はごくごく普通で、ただし、校内での使用は禁止されているから、校門で身分証明書を見せるタイミングでOn-Offして、親と確認しあえる習慣になっている子は多い。我が家も、そう。
本屋さんは、学校からもほど近いので、「とりあえず、カバンに入ってる教科書をカバーしてもらってきたら？」
それぞれのサイズでカスタマイズされて、折り返しでマチなしの完璧なカバー。強度もしっかり。これで、1ユーロ(は、良心的だと思う)。まるで、100均が出現してくれたみたいに嬉しい。
世の中には、お金で買えるシアワセも(たまには、こうして)、ある。
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